ひと言で「FX業者」といっても、国内FX業者と海外FX業者とでは、「商売の仕組み」がまるで違います。
それぞれの特徴を知ったうえで、国内FX業者と海外FX業者を上手に使い分けることが必要です。
僕が先物取引会社に入社したての90年代当時、金融業界ではさかんに「日本版ビッグバン」という言葉がささやかれていました。
特に日本版ビッグバンによる外為法の改正で、僕のいた会社でも、
「数年後には個人向けの外国為替取引が可能になる」
とか、
「貴金属や農産物だけじゃなく、われわれがドルや円などの通貨も扱うことが出来るようになる!」
と、会社全体、業界全体が、すごく高揚した思いで外国為替証拠金取引(FX)が始まることに期待していたのを鮮明に覚えています。
ちなみに、今でもFX業者の中に、○○通商とか○○商事、○○交易といった、一見するとFX業者に似つかわしくない会社名があります。
これらの会社は、元々は貴金属や農産物の先物取引を行っていた業者です。
FX業者のあるべき姿は手数料商売
僕が働いていた某先物取引会社の業務は、客からの注文を取引所に仲介する、いわゆるブローカー業です。
取引所と直接取引できない客の注文を取次ぎ、その手数料を頂くことで収益としています。
ブローカー業という言葉の響きはともかく、ここは重要なのでもう一度言います。
取引所と直接取引できない客の注文を取次ぎ、その手数料を頂くことで収益とする
これが健全な仲介業というものです。
FXであれば、銀行(インターバンク市場)に直接アクセスできないトレーダーの為に、代理で注文を流し、その手数料を貰うのが、本来あるべきFX会社の姿です。
手数料商売から「カジノ業者」へと変貌した国内FX業者
ところが、いつの頃からか国内のFX業者において、純粋な手数料商売から、徐々にその「ビジネスモデル」に変化が生まれはじめます。
きっと利口な人がいたんでしょう。
ご存知のように、
FXという難易度の高いゲームは、ほとんどのトレーダーが負けるようにできています。
ということは、
客からの注文をインターバンク市場に流さず、自分たちでカバー(反対のポジションを持つこと)すれば、黙っていても儲けられる!
と。
この考え方によって、ディーリングデスク方式という国内FX業者特有のシステムが生まれます。(ディーリングデスク方式についてはこちらをご覧ください)
「自社にディーリングデスクという部署を作り、客から受けた注文をインターバンク市場に流さずに自社で処理する」、つまり客が「ドルを買って円を売りたい」と言えば、会社は「客の円を買って、相当額のドルを客に渡す」というわけです。
この方式では、業者側は常に客と反対のポジションを持つことになるので、当然のことながら、
「客が損をすればFX業者が儲かり」「客が儲ければFX業者が損をする」
ことになります。
もちろん、1人で大勝するトレーダーも中にはいるので、一時的に収益がマイナスになることはあるとしても、大勢の客との取引を続けて行けば大数の法則が働くので、いずれ収支は改善されます。
この「ビジネスモデル」。
みなさんもうお気づきですよね。
そう、カジノ業者と同じ手法なんです!
それと、もうひとつお気付きかもしれませんが、客の注文をインターバンク市場に流さないということは、ディーリングデスク方式のFX業者を使っている日本のトレーダーたちが、いくらドルを買ったり円を売ったりしても、その時点では市場価格にはいっさい影響を与えないということです。
なにせ注文が為替市場に通ってないわけですから。
ドル円のスプレッド0.3銭は怪しい
国内のFX業者は、これまでに熾烈な手数料(スプレッド)の値引き合戦を繰り広げた結果、現在は最安でおよそドル円スプレッド0.3銭という値に落ち着いています。
この0.3銭というスプレッド。確かにかなりのインパクトで「安い!」と感じます。
特に海外のFX業者と比べると、信じられない安さ、というよりスプレッド0.3銭というのは商売としては完全に成り立たない安さです。
しかし、この0.3銭というスプレッドには2つのウソがあります。
それは、
- スリッページ
- 約定拒否
の2つです。順番に見ていきましょう。
スリッページ
スリッページとは、客であるトレーダーが、「このレートで買いたい、あるいは売りたい」とマウスをクリックしたのに、実際に約定したレートはクリックしたポイントから0.3銭以上離れたところで約定させられるようなケースを言います。
疑問1:スリッページ
ここで1つの疑問が生じます。
スリッページという現象自体は、取引が活発に行われているインターバンク市場では常に発生します。
しかし、
そもそもインターバンク市場に注文を流さず、自社のディーリングデスクでカバーしている国内FX業者に何故スリッページが発生するのか?
スリッページというのは銀行間の取引で発生するものなので、普通に考えれば国内FX業者にスリッページは発生しないはずです。
ということは…。
スプレッド0.3銭と謳っている業者が「スリッページを装って実際にはもっと高いスプレッドで商売している」可能性が考えられます。
ただし、国内FX業者の中でも、元為替ディーラーの小林芳彦さんが社長を務めるJFXや、スリッページ発生率ゼロ、約定率100%を誇るマネーパートナーズのような素晴らしい会社もあります。
約定拒否
約定拒否とは、客であるトレーダーが、マウスをクリックしFX業者に注文を入れたにもかかわらず、注文が通らない状態を言い、国内FX業者に限って時おり見られる現象です。
僕の経験で言えば、エントリーの際に約定拒否されたことはありませんが、ロスカットしようとして注文がスルーされたことは何度かあります。
疑問2:約定拒否
僕がメインで使っているXM(エックスエム)などの海外のFX業者に、そもそも約定拒否という現象は存在しません。
客であるトレーダーの注文を執行しないなんてバカなことは、海外FX業者の常識では考えられないことです。
なのに、どうして国内FX業者は客からの注文を受け付けないことがあるのか?
考えられる理由としては、先に書いたようにディーリングデスク方式の国内FX業者にとって「客の損は会社の利益、客の利益は会社の損」なので、会社にとって都合の悪い注文は「受け付けたくない」ということです。
つまり
会社側のスプレッド0.3銭という謳い文句を信じてトレードを続けていると、実際には気付かないところで「搾取」されてるというわけです。
このことが、僕が国内FX業者を使わず、あえてスプレッドが高いように見える海外FX業者を利用している一番の理由です。
MT4が使えない会社は怪しい
海外のFX業者では、トレーディングツールにMT4を使えるのは当たり前のことです。
世界最強のトレーディングツールと評価されているツールを、顧客の為に提供することは、顧客重視の立場に立つ会社ならば当然のことです。
ところが、ご存知のように国内FX業者のほとんどは、MT4が使えないんです!
何故か?
これも先ほどのスリッページや約定拒否が生じる理由と同じです。
要するに、
「国内FX業者にとっては、MT4を使って客に儲けてもらっては困る」からなんです。
MT4を使えば、それだけで客のトレード成績が上がる可能性が高いでわけですから…。
まとめ
ということで、僕はXM(エックスエム)という、使い心地と信頼性の高い海外ブローカーをメインに使っています。
場合によっては、元為替ディーラーの小林芳彦さんが社長を務めるJFXといった、スプレッドが狭く、かつスキャルピング公認の国内FX業者を使うこともありますが、基本的には、海外FX業者を信頼してトレードしています。
国内海外を問わず、良いFX業者もあれば、そうでない業者もあります。
僕もいろいろと経験させられましたが、当サイトで名前を挙げているFX業者に関しては、僕自身が今も利用している間違いのないFX業者です。
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