初心者はロットは小さく安全に!僕らはソロスではないから!

FXで、よく「短期間の間に資金を何倍に増やした」といった話を耳にすることがあります。
僕のように毎日コツコツと小さな利益を積み重ねるタイプのトレーダーには信じられない言葉ですが、そういった凄腕トレーダーが、ごくまれに存在することは知っています。

ではなぜ、ごく一部の敏腕トレーダーにはそんな神ワザみたいなことが出来てしまったのか?

その答えは単純で、彼らは間違いなくロットを上げて、リスクを背負って利益を獲りに行ったからです。
しかし、そんな神ワザが出来るのは、類まれな才能を持った、ごく一握りのトレーダーだけです。例えば、ジョージ・ソロスのように…。

ソロスが、10億ドルのポジションを持ったドラッケンミラーに言った言葉

ソロスが、10億ドルのポジションを持ったドラッケンミラーに言った言葉

ジョージ・ソロスのクウォンタム・ファンドを受け継いだスタンレー・ドラッケンミラーとソロスの間にこんな逸話があります。

ドラッケンミラーがソロス・ファンドで働き始めてすぐの頃、ドイツ・マルクに対してドルに弱気でいたドラッケンミラーは、当時の彼にとってかなり大きなマルク買いドル売りのポジションを取っていたそうです。

そのポジションが思惑通りに含み益を出し始め喜んでいたところ、ソロスが彼のオフィスに入ってきて、そのトレードについて質問してきたそうです。

「ポジションのサイズは?」

と聞くソロスに対し、自信あり気に、

「10億ドルです!」

と答えるドラッケンミラー。

すると、それを聞いたソロスは、

「それがポジションと呼べるのか?」

と吐き捨てるように言い。
ポジションサイズを2倍にするよう勧めたそうです。

さらにソロスは、

「もしそのトレードに強い確信を持っているなら、すべてを賭けて勝負しなければならない」

ともドラッケンミラーにアドバイスしたといいます。

FX初心者がロットを上げた大勝負をするとほぼ確実に負ける

初心者が大勝負するとほぼ確実に負ける

ジョージ・ソロスは確かにカッコイイです。

上の逸話以外にも、プラザ合意の後にドル売り円買いの大勝負に出たことや、有名なイングランド銀行との対決などもありました。

僕にとってもソロスは憧れの人です。
ソロスの本も、バフェットの本もいろいろ読みましたけど、憧れるのはやっぱりソロスですね。

でも、普通の人がソロスを真似ても何ひとつ良いことはありません。

昔からソロスに憧れていた僕は、彼のドラマティックなトレードが頭の片隅にこびりついていて、長年ロットを大きくし過ぎるクセがなかなか治りませんでした。

300万円で始めた株を、数週間で200万円まで減らしたり、80万円で始めたFXでは、たった数日で50万円まで減らしてしまったりしました。

初心者トレーダーにとって、自分の精神に大きな負担がかかるほどの含み損は、

「このままだと、さらに資金が減っていくんじゃないか?」

という恐怖心を生み、さらに大きな下げをくらった後に、精神的苦痛から解放されたくて損切るハメになったりします。

しかも、往々にして損切ったところが相場の底だったりするんです(これには論理的な理由があるんですが、それはまた別の機会に)。

初心者トレーダーが犯しがちなこういったミスは、結局のところ資金管理が出来ていないことが原因で、ポジションサイズを大きくし過ぎる傾向は、その典型的な例です。

小さめのロットはトレード&精神面にこんなにメリットがある

小さめのロットはトレード&精神面にこんなにメリットがある

僕がトレードで負けなくなった理由はいくつかあるんですが、その最も大きな要因はポジションサイズを小さくしてトレードするようになったことです。

ポジションサイズの他にもチャートの分析能力や、ドテンやナンピンの仕方など、重要なテクニックが数々ある中で、どうしてロットを小さくすることが最も大切だと断言できるのでしょうか?

それは、「今でもロットを上げ過ぎたトレードでは、負ける確率が格段に上がる」からです。

僕自身のチャートを読む能力や経験、判断力は、ポジションサイズに関わらず当然同じなはずです。
だとしたら、ポジションサイズに関わらずいつもと同じ判断を下し、いつものように勝てるはずなんです。理論的には…。

しかし、現実にはそうはならないから不思議です。

これはもう、ひとえに

「精神面がマイナスに作用している」

の一言に尽きます。

適正なロットサイズは、精神的な安定を保てる状態であること

もう少し詳しく説明すると、トレーダーには、それぞれ精神的に耐え得る限度額のようなものがあります。

資金量や、どの程度まで精神的に耐えられるかは、人によってかなり個人差があるので一概には言えませんが、すごくシンプルに例えましょう。

仮に、あなたが100万円の投資資金を持っていたとします、100万円あれば、レバレッジを25倍まで掛けられるFXでは2500万円分のポジションを持つことが出来ます。

もし、レバレッジをフルに掛けた状態で、ドル円を1ドル100円の時に買ったとします。

なので、あなたは今、

1(1ドル=100円)×100万円×25=2500万円

のドル買ポジションを持っています。

この時、仮に翌日のドル円レートが1ドルが99円に下がったとします。
ドル円レートが1円動くというのは比較的大きな変動ですが、要人発言や重要な経済指標、あるいはチャートの節目を超えた場合などは、平気で1日に1円ぐらい動きます。

さぁ、あなたの抱えた含み損はいったいいくらぐらいになってるでしょうか?

0.99(1ドル=99円)×100万円×25=2475万円

2500万円-2475万円=25万円

ズバリ!25万円のマイナスです!

いかがでしょう?
意気込んで100万円突っ込んだ次の日の朝、あなたの手持ち資金は

100万円→75万円まで目減りしちゃってるんです…。

辛いですよね、悲しいですよね。

でも、本当の恐怖はこれからです。

ドル円が99円で止まってくれたり、反転してくれればいいですが、もっともっと下がる可能性だって大いにあります。
そんなことになったら、あなたの100万円は、

あっ、という間に消えてなくなります。

そんな恐怖の中で、冷静な判断が出来るでしょうか?
チャートのパターンに冷静に従うことが出来るでしょうか?

しかも、すでに全額突っ込んでいるので、チャートが反転の兆しを見せたとしても、ナンピンも出来ません。

あとは、ただ祈るしか術がない状態です。

この例えは、「極端過ぎる」と思われる方もいるかもしれませんが、そんなことはないと思います。
けっこう普通にあるケースです。

「ポジションを取った後は祈るだけ」なんて、トレードとは呼べません。

では、どうすればいいのか?

簡単です。ポジションサイズを小さくするんです。ロットを下げるんです。

上の例では、レバレッジを上限の25倍で計算しましたが、僕に言わせれば2倍から3倍ぐらいで十分だと思います。
これだと、25万円だった含み損は、約10分の1ぐらいになります。

100万円から2、3万円減ったぐらいなら、誰もがまだ冷静でいられるはずです。

この「冷静でいられる」というのが、ものすごく大切で、冷静であってこそ初めてチャートを的確に捉え、判断することが可能になります。

どこで利益を確定し、どこで損切るのか。
損切りをする際も、金額が小さいのでチャート上の的確な場所で躊躇なく切ることが出来ます。

チャート形状によってはナンピンしたり、ドテンをするケースもあるでしょう。

それらの判断はすべて、冷静な精神状態のもとで下されなければなりません。

冷静な精神状態を保つには、含み益と含み損の上下が精神面に影響を与えないレベルまで落とす必要があります。

ソロスも彼自身のリスク許容度の範囲内で勝負している

ソロスも彼自身のリスク許容度の範囲内で勝負している

高いビルとビルの間に渡したロープを綱渡りする絵を想像してみてください。
百戦錬磨のソロスは、自身の能力であれば向こう側までに渡りきれる勝算が十分にあると判断し、実行しているんです。

しかし、初心者はビルが高くなればなるほど、平常心でいられなくます。
冷静さを失い、判断力が鈍り、いつもの実力が出せなくなります。

自分自身を見失っているような、こんな精神状態では、とても為替市場の強者たちを相手に利益をかっさらうことなんて不可能です。

ポジションサイズというのは、それぐらいトレーダーの心の状態を乱すものだということを、しっかり自覚しておく必要があります。

チャートの分析能力を高めることは誰にだって可能です。
それが出来れば、少なくとも負けることはなくなるはずです。

にもかかわらず、多くの人が大負けしてマーケットから去っていくのは、冷静な判断が困難になるほどロットを上げ、「大勝負」を仕掛けているからです。

プロトレーダーを目指すなら、一度の大勝ちよりも、日々コツコツと小さな勝ちを積み重ねていくことが大切です。

「大勝負」の誘惑を払いのけたいと思うのなら、今すぐポジションサイズを小さくしましょう!

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麦 恵成(バク ケイセイ)
名前:麦 恵成(バク ケイセイ)
生年月日:1970年11月8日
出身:兵庫県神戸市
職業:FXトレーダー兼ファイナンシャルプランナー。元先物取引会社勤務。現(株)エンスージアズム代表取締役。
自己紹介:トレーダー歴はトータルで約20年になります。
主戦場は為替。他にダウ先物・225先物・原油先物など。
現物株は高配当銘柄の長期投資中心。少しだけ新興市場のグロース株も。
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