FX業者を選ぶ際に、注意すべきポイントがいくつかあります。中でも特に大切な要素が「スプレッド」でしょう。
なにしろトレード成績に直接かかわってくる部分ですからね。
スプレッドがどういうもので、どういう仕組みで発生するのかは、あとで詳しくお話ししますが、カンタンに言えば「スプレッドとはFX業者の手数料」のことです。

昔、国内でFX取引がはじまった当時、先物業界で働いていた僕は、スプレッドを含めた「業界の利益の仕組み作り」をつぶさに見てきました。
その頃は、国内のFX業界自体がもっと健全な運営をしていたと思うのですが…(笑)
今では、元業界人の僕自身が、国内FX業者ではなく海外ブローカーをメインで利用するようになってしまいました…。
それはともかく、スプレッドというのはトレーダーにとって大切な要素で、以前、「プロトレーダーが実戦で使っているFX会社」という記事(↓)でも、ブローカー選びで最も重視すべきなのは「スプレッドとその安定性・スリッページ」と書いたほどです。
ということで、ここでは健全な運営をしている海外のFX業者のみに絞って、各社のスプレッドを比較していきたいと思います。
海外FX主要10社スプレッド比較
さっき、「スプレッドとはFX業者の手数料」だとお話ししましたが、もし、FX業者が純粋な手数料商売をしていたら、スプレッドはある程度の広さがどうしても必要になります。
なにしろ、スプレッドのみが収入源なわけですから。
そのために、海外のFX業者は、「客の損で儲けている国内FX業者」よりもスプレッドが広くならざるを得ないんです。
海外FX業者が「スタンダード口座」とは別にスプレッドの狭い口座を設ける理由
でも、いくら海外のFX業者が健全な手数料商売をしていたとしても、彼らが設定しているドル円で1.3とか1.8といったスプレッドは、国内のFX業者がうたっているスプレッド0.2とかに比べると、明らかに広い印象を与えます。

そこで、海外FX業者も「見た目だけでもスプレッドを狭く見せよう」と考えたのでしょう。
通常の「スタンダード口座」とは別に、スプレッドを狭くして代わりに「手数料」を取ったり、取引の仕組みを変えた「ECN口座」などを設けるようになりました。
個人的な感想を言うと、本来は「スタンダード口座」の比較だけで十分だと思います。
一応、各社の「ECN口座」の比較も掲載しておきますが、見た目だけスプレッドを安くした口座を作っても、「その分は他から取られる」ことに変わりないですから。
海外FX「スタンダード口座」のスプレッド比較
※ 単位はpips。
ドル円 | ユーロ円 | ポンド円 | 豪ドル円 | ユーロドル | |
---|---|---|---|---|---|
iFOREX | 0.9 | 1.7 | 1.5 | 3.5 | 0.8 |
GemForex | 1.2 | 1.4 | 1.9 | 1.6 | 1.2 |
Titan FX | 1.2 | 1.7 | 2.4 | 2.1 | 1.2 |
BigBoss | 1.5 | 1.6 | 2.5 | 2.1 | 1.9 |
is6FX | 1.6 | 2.3 | 3.1 | 2.9 | 1.8 |
XM | 1.6 | 2.6 | 3.5 | 3.0 | 1.6 |
FXpro | 1.8 | 2.4 | 3.6 | 3.0 | 1.7 |
FBS | 2.0 | 3.0 | 4.0 | 3.0 | 1.1 |
TradersTrust | 2.0 | 3.2 | 3.7 | 3.5 | 1.8 |
FXDD | 2.3 | 3.0 | 3.8 | 3.5 | 1.8 |
日本国内で運営実績のある、主な海外FX業者をピックアップし、比較してみました。
僕が実際に使っている3社は、特に有名なのでご存知の方も多いかと思います。

XM・Titan FX・iFOREX の3社以外にも、使ったことのあるFX業者はたくさんあります。
悪くないブローカーももちろんありましたけど、スプレッド以外の要素、例えば、スリッページや約定率、あと大金を預けられる信頼性なども考慮すると、「この3社が自然と残った」という感じです。

補足として、iFOREXに関しては、MT4が使えないことと、DD(ディーリングデスク)方式なので、僕はFXには使っていません。
FX以外の商品や仮想通貨の取引に利用しています。
スプレッドは狭いし(DDだからですけど)、運営実績も非常に長いので、安心して使えるブローカーではあるんですけどね。
※ DDについては後述します。
海外FX「ECN口座等」のスプレッド比較
次に、先ほどお話しした、「海外FX業者がスプレッドを狭くし、その代わりに手数料を取る口座」のスプレッドを比較していきましょう。
※ 単位はpips。
口座 | ドル円 | ユーロ円 | ポンド円 | ユーロドル | |
---|---|---|---|---|---|
LANDFX | ECN | 0.0~1.5 | 0.0~2.0 | 0.0~2.0 | 0.0~1.3 |
XM | Zero | 0.1~0.6 | 0.1~0.7 | 0.1~1.3 | 0.1~0.6 |
Titan FX | Blade | 0.0~0.6 | 0.2~1.0 | 0.6~2.0 | 0.0~0.6 |
TradeView | MT4 ILC | 0.1~0.4 | 0.3~0.8 | 0.2~1.6 | 0.1~0.5 |
AXIORY | Nano Splead | 0.1~0.7 | 0.2~0.9 | 0.3~1.7 | 0.1~1.7 |
FBS | ECN | 0.2~0.6 | 0.1~0.9 | 0.5~2.1 | 0.0~0.4 |
GemForex | No Splead | 0.3 | 1.0 | 1.3 | 0.3 |
FXpro | MT4 Market | 1.3~1.8 | 1.9~2.5 | 2.5~4.2 | 1.5~1.8 |
XMは、スタンダート口座のスプレッドが狭くないことを意識した反動なのか、「Zero口座」ではめいっぱい薄く設定してますね。
Titan FX「Blade口座」のスプレッドも、XMの「Zero口座」に匹敵する狭さです。
ちなみに、ECNとは、「Electronic Communications Network」の略で、ネット上の電子的な取引所のことです。
多くのFXアフィリサイトにはECNのことも「インターバンク市場」と説明してますけど、通常のレートが刻一刻と変動するインターバンク市場とはまったくの別物です。

ECNをわかりやすく言えば、株の証券取引所のようなものです。
通貨ペアごとの買値と売値が並んでいて、自分の買いたいレートや売りたいレートとマッチすれば、FX業者が仲介してくれます。
インターバンク市場のようにスプレッドが大きく広がったり狭まったりすることはなく、その代わりに決められた仲介手数料を払うという仕組みです。
繰り返しになりますが、スプレッドを狭く設定した口座には、別途手数料がかかるので、必ずしもコスパが良いわけではないことを、ご注意ください。
また、「1ロット当たりの手数料」は、買ったときと売ったときの両方にかかるので、「往復で2倍になる」ことにもお気をつけください。
海外FX業者にとってのスプレッドは実質的な手数料
あらためて、経済とか金融には専門用語が多いので、FX初心者の方は、「スプレッド」という言葉を聞いても、いまいちどういう意味なのかわからなかったりするかもしれませんよね。

「スプレッド」とは、ひとことで言えば、FX業者が手にする手数料のことです。
FX業者は、銀行から仕入れた資金に「自社の利益分」を乗せて僕たちトレーダーにレートを提示してるのですが、この利益分のことを「スプレッド」と呼んでします。
株の取引なんかだと、株価は東京証券取引所などの「取引所」で取引されている、株価という明確な価格があります。
証券会社は、その価格に手数料を上乗せして顧客に株を販売しているわけです。
これがFXの為替市場となると、証券取引所のようなハッキリした場所は存在しません。
為替市場とは、各国の外国為替を扱う銀行間で取引される「インターバンク市場」のことを指します。
僕たちFXトレーダーがトレードをする際は、まずXMやタイタンなどのFX業者に「ドル買い円売り」といった注文をだし、注文を受けたFX業者が銀行を通してインターバンク市場にその注文を流します。

僕が普段使っているMT4チャート。「SELL(売値)」と「BUY(買値)」、この2つレートの差をスプレッドと呼びます。
銀行は、仕入れ価格にスプレッドという利益分を乗せてFX業者にレートを提示します。
FX業者は、そのレートに、さらに自社の利益を乗せて僕たちFXトレーダーにレートを提示します。

MT4などのトレーディングツールに表示される為替レートは、「利益分=スプレッド」込みの価格ということです。
なので、「どれだけ自社の利益分を上乗せするか」によって、スプレッドの狭いFX業者・広いFX業者の違いが出てくるわけなんです。
海外FX業者と国内FX業者で顧客の注文の処理方法が違う
海外のFX業者は、ここでお話ししたように「インターバンク市場」に直接顧客の注文を流す「NDD(ノンンディーリングデスク)方式」を採用している会社が多く、取引の透明性に優れています。
一方、国内のFX業者の多くは「インターバンク市場」の顧客の注文を流さず、自社で処理する「DD(ディーリングデスク)方式」を採用している会社がほとんどなので、僕たちトレーダーの注文が中でどう処理されているのか、外からはまったくわかりません。
NDDとDDの違いについては、こちら(↓)の記事をご覧ください。
僕が使ってる最狭スプレッド業者は?
これから海外FX業者を選ぼうという方にとって、一番気になるのは「いったいどこのブローカーがスプレッドが最も狭いのか?」ということだと思います。

僕もかつてはいろいろな海外FX業者を試してきたんですが、結局、今も使い続けているのは、デイトレ&スイング用のXMと、スキャルピング用のTitan FX、あと、ゴールドや原油先物、仮想通貨のトレード用にiFOREXぐらいです。
なので、僕が「厳選した」この3社のスプレッドについて見ていきたいと思います。
ドル円 | ユーロ円 | ポンド円 | 豪ドル円 | ユーロドル | |
---|---|---|---|---|---|
iFOREX | 0.9 | 1.7 | 1.5 | 3.5 | 0.8 |
Titan FX | 1.2 | 1.7 | 2.4 | 2.1 | 1.2 |
XM | 1.6 | 2.6 | 3.5 | 3.0 | 1.6 |
僕が使っている3社のスプレッド(スタンダード口座)を比較すると、上のような結果となります。
ただし、それぞれに一長一短あります。

業界内では優秀なこの3社を見ても、それぞれに長所と短所があって、「すべてが完璧」なFX業者は今のところありません。
なので、僕はスキャルやデイトレ、あるいはゴールドや原油、仮想通貨のトレードといった「目的別」に、その取引に適した業者を選んでトレードしています。
スプレッドは重要指標の発表や市場が閉まる直前に広がりやすいので注意が必要

僕の雇用統計のトレード手法を紹介した「トレード日記」
上の画像(↑)は、僕が雇用統計でトレードする際の戦略について書いた2017年8月5日のトレード日記「雇用統計のFXトレード『プランB』で30万円のプラスに」のものです。

このときは「一撃」で40pips抜いたわけですが(XMの取引履歴も掲載してます)、このようにレートが瞬間的に大きく動くケースでは、スプレッドも通常より大きく広がります。
スプレッドが広がりやすいのは、雇用統計などの重要指標の発表の際、それと、金曜日のニューヨーク市場が閉まる直前(日本時間の土曜の早朝)なども、どのFX業者でも普段の2倍ぐらいにスプレッドが広がることがあるので気をつける必要があります。
上記のトレード日記の中でも書いたのですが、僕は雇用統計を含めた重要指標の発表や、月曜早朝のマーケットが開く際と土曜早朝のマーケットが閉じる際は、レートがチャートの理論を無視して大きく動く(スプレッドも大きく広がる)ので、基本的にはトレードしないようにしています。
また、こういったときは、どこのFX業者を使おうとスプレッドは広がります。
僕がいつも利用している、XMだろうと、Titan FXだろうと、あるいは原則スプレッド固定のオアンダでも、瞬間的にはスプレッドが大きく広がります。
それと同時に、「指標発表の際などのトレードはギャンブル性が高くなる」ので、みなさまにもなるべくトレードしないことをおすすめします。
まとめ
ここまで、海外FX主要10社のスプレッドについて見てきました。
また、「スタンダード口座」と「ECN口座等」のスプレッドの差と、その仕組みにの違いついてもお話しさせていただきました。
最後に、もう一度「海外FX主要10社をスプレッド」を比較してみましょう。
海外FX「スタンダード口座」のスプレッド比較
※ 単位はpips。
ドル円 | ユーロ円 | ポンド円 | 豪ドル円 | ユーロドル | |
---|---|---|---|---|---|
iFOREX | 0.9 | 1.7 | 1.5 | 3.5 | 0.8 |
GemForex | 1.2 | 1.4 | 1.9 | 1.6 | 1.2 |
Titan FX | 1.2 | 1.7 | 2.4 | 2.1 | 1.2 |
BigBoss | 1.5 | 1.6 | 2.5 | 2.1 | 1.9 |
is6FX | 1.6 | 2.3 | 3.1 | 2.9 | 1.8 |
XM | 1.6 | 2.6 | 3.5 | 3.0 | 1.6 |
FXpro | 1.8 | 2.4 | 3.6 | 3.0 | 1.7 |
FBS | 2.0 | 3.0 | 4.0 | 3.0 | 1.1 |
TradersTrust | 2.0 | 3.2 | 3.7 | 3.5 | 1.8 |
FXDD | 2.3 | 3.0 | 3.8 | 3.5 | 1.8 |
おすすめ記事海外業者でFXを始める手順【元先物トレーダーが解説】
おすすめ記事プロトレーダーが実戦で使っているFX会社