初心者はその日の損益が確定するまでトレード日誌は書くな!

トレード日誌を付けることの重要性は、「トレード日誌が学習能力を高める!」で書いた通りです。
しかし、日中の1回1回のトレードが終わるたびにノートに損益額を記入することはお勧めしません。

僕は自分自身の痛い経験からそう思っています。
過去にこんなことがありました。

トレード日誌に損益額を書き込んだあとは「マイナスに対して冷静さを失いがち」なので要注意!

僕がまだFXを始めて数か月の頃、ある日、その時点で2万円ほどの利益が出ていました。
初心者だった当時、2万円は大金でした。

その日のトレード結果に満足し、「今日はもうやめよう」と思い、その日の利益額をトレードノートに書き込みました。
書き終えてから、2つあるモニターの、左側にドル円のチャートを表示し、右側のモニターで別の作業をしていました。

作業をしながらも、左目の隅にチラチラと動き続けるチャートを何気なく見ていると、大きく下げていたドルが、たくり足(スパイクロー)の形を作り反転の兆しを見せていました。
「これはドルが反発するな」と誰もが思える場面です。

僕はとっさにエントリーしました。
ノートは書き終えていましたが、「さらに利益を積み増せる」「このチャンスで入らないのはトレーダーじゃない」などと自分に言い聞かせ、リスクリワードの計算もろくにせず軽い気持ちでエントリーしてしまいした

その直後、思惑通りドルはレートを上げ、含み益は「1万円まであともう少し」という位置にまで来たのです。
すでに確保している2万円と合わせて、計3万円の利益となるはずでした。

これは、この時点での私の1日あたりの過去最高額です。
かなり良い気分でした。

人は一度確定した利益を下方修正したがらない。それが損切りをためらうミスを呼ぶ

人は一度確定した利益を下方修正したがらない。それが損切りをためらうミスを呼ぶ

ところが、僕はここから初心者トレーダーが起こしがちなあらゆるミスを一気に演じてしまいます…。

まず、とっさにエントリーしたポジションは結果的にな1万円の含み益まで届かず反転し始めます。

ここで第1のミス。
僕は1万円という金額と、その日のトータル利益3万円という「大台」にこだわっていました。
こだわっていたが為に、1万円未満で満足できず、下がってくるレートを眺めながら、「再度上がってくるのを待とう」と利益確定を先延ばししました。

しかも、この時のチャートは直近の高値を超えられず、なおかつ長期移動平均線に当たって下にはね返されていました。
常識的に考えれば、買いポジションはすぐに切らなければいけない場面です。

結果は、二度と含み益1万円を回復することはなく、それどころかその後の急落で、含み益は一瞬で無くなり含み損を抱える状態になってしまいました。

次に第2のミス。
このトレードがマイナスで終わると、一度書いたトレード日誌の利益額を下方修正しなくてはなりません。
それがものすごく嫌でした。それを嫌って急落の場面で逃げることをためらってしまいました。
心理的な抵抗に勝てず、含み損が膨らむポジションをただ眺めていました。

チャートは完全に崩れようとしています。
事前に確保していた2万円の利益を超える額のマイナスを、最後に取ったポジションは出し始めていました。

そして第3のミス。
冷静に考えれば即ポジションを閉じなければいけない状況です。
しかし、この状況に陥ってもなお、私は「過去最高益」が消えてしまったことを受け入れられず、また、せめて今日をプラスで終えたい、そんな心境からポジションを保有し続けました。

「もしかするとまた上がってくれるかも」という無意味な期待だけを頼りに、損切りする決意ができませんでした。

トレードの現場では、わずかな油断で小さな火が大火災に発展する

トレードの現場では、わずかな油断で小さな火が大火災に発展する

その後、ドル円はとめどもなく下がり続け、エントリー直後に約1万円の含み益を抱えていたポジションは、今や約10万円の含み損を抱えるまでになってしまいました。
10万円という当時の僕には大き過ぎる金額に呆然としながらも、結局、最後は諦めてこの段階で損切しました。

この愚かな過ちの連続は、ひとえに僕の短絡的な思考、マーケットを無視した一人よがりなこだわり、そして自らを律する心の弱さが原因でした。

と同時にこの経験は、人が本来持っている心の一般的な反応が、いかにマーケットにおいては危機を招くかということを明確に示しています。

マーケットという巨大な生物に向き合うには、僕たちは出来る限り「マーケットに同調しない本能」を、意思の力(トレード脳)で抑え込む必要があります。

トレード日誌に記入した後にトレードするという行為は、この「マーケットに同調しない本能」を呼び起こすことに、知らず知らずのうちに手を貸してしまっているように思います。

この経験以降、僕は必ずその日のすべてのトレードが終わってから損益額を記録するようにしています。
もしくは、金額を記入したあとは、絶対にポジションをとらないように心がけています。

ちなみに、途中でトレード日誌に記入してはいけないのは当然ながら金額だけです。
エントリーした根拠などはトレード脳に影響を与えないので書いても構いません。

以上のことは、あくまで僕個人の経験ですので、みなさんがこのような愚かな行為を繰り返す確率はそう高くないかと思います。
しかし一方で、「人間という生き物は、往々にしてみな同じような反応をし、同じような行動を繰り返すものだ」ということを日々マーケットに向き合いながら感じています。

些細なこと、と気にも留めていなかった習慣が、無意識のうちに、実はトレードにマイナスの影響を与えていた、という可能性もあるかもしれません。
僕の愚かな経験が、みなさんと共有できる何かしらの教訓となれば、と思いお話ししました。

経験を積めばすべてを記録する必要はない

ある程度経験を積み、勝てるようになってからは、すべてのトレードを記録することはなくなりました。
なぜなら、各トレードの結果は、それぞれが独立した個別のものであり、必ずしも過去のトレードと関連付けて考えない方が良いことに気付いたからです。

大切なのは、今のトレードに集中し、正しい判断を下すことであって、過去のトレードの残像によって、判断が影響されてはいけないのです。

ただし、記録を付けなくても良いのは、ある程度の技術が身に付いてからの話しで、初心者のうちは、初心者がやりがちなデタラメなトレードを防ぐ意味からも、きちんと記録を残すべきです。

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麦 恵成(バク ケイセイ)
名前:麦 恵成(バク ケイセイ)
生年月日:1970年11月8日
出身:兵庫県神戸市
職業:FXトレーダー兼ファイナンシャルプランナー。元先物取引会社勤務。現(株)エンスージアズム代表取締役。
自己紹介:トレーダー歴はトータルで約20年になります。
主戦場は為替。他にダウ先物・225先物・原油先物など。
現物株は高配当銘柄の長期投資中心。少しだけ新興市場のグロース株も。
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