「過信すると大波にのまれるぞ!」
これは、ジョージ・ソロスがビクター・ニーダーホッファーに言った言葉です。
ニーダーホッファーとは、天才投機家と謳われながら、一度の大損ですべてを失い破産した伝説のトレーダーです。
日本では、160万円を数百億にまで増やした小手川隆さんが、ハンドルネームとしてビクター・ニーダーホッファーをもじった「BNF」を使っていたことで有名かもしれません。
ソロスはニーダーホッファーの失敗を予見していた?
投機王ソロスは、早くからニーダーホッファーの天賦の才に目を付け、多額の資金を彼に運用させていました。
また、毎年夏になるとニューヨーク郊外のロングアイランドにあるソロスの別荘にニーダーホッファー一家を招きバカンスを過ごしていたそうです。
その時の、とある光景を描いたのが下(↓)の絵です。

ソロスの別荘でバカンスを過ごすソロスとニーダーホッファー
手前に立っているのがソロス、向こうに見えるのがニーダーホッファーと彼の娘ケイティ。
この時ソロスは大きな波がニーダーホッファーの背後に迫っているのを見て、こう叫んだそうです。
「気を付けろ、あの波はお前には大きすぎる!」
それを聞いたニーダーホッファーは、
「ジョージ、心配するな。大波に立ち向かうのがトレーダーの役目なんだ。この程度の波など大したことないさ」
と答えました。
するとソロスは、
「そこがお前の悪いところなんだ。お前は大波がやって来た時に、いつ離れるべきかを知らない。自分を過信していると、いつか大波にのみ込まれてしまうぞ!」
と言ったそうです。
すべてを失ったニーダーホッファーは後に、
「まさかあの言葉が現実になろうとは。ソロスは正しかった」
と語っています。

ビクター・ニーダーホッファー
また、ニーダーホッファーが絶頂期の時でさえソロスは彼を「負け犬」と呼び、自信に満ちていたニーダーホッファーはその呼び方に非常な抵抗感を感じていたそうですが、
「今にして思えば、ソロスは私の現状を予見していたようだ」
とも話しています。
「投資に怯えなくなったらおしまい」 – ジム・ロジャース
ソロスと共にクォンタム・ファンドを立ち上げた大投資家ジム・ロジャースも同じようなことを言っています。

ジム・ロジャース
「あなたは市場で取引していて、怖いと思ったことはないですか?」
というあるインタビュアーの問いに、
「とんでもない!私は常に怯えています。私は金融市場では常に怯えています。なぜなら、投資に必要なすべてのことを知ることは決してないからです。何が起きてもおかしくないのが市場なのです」
さらに、
「投資に怯えがなくなってしまったらおしまいです。自信過剰になって、『うまいぞ、私は切れ者だな』と感じ始める時が実は一番危ないのです。私の経験によれば、『すごいぞ、儲けるなんて簡単だ』と思う時には、必ず何かしら失敗するものです」
そして、
「どんな投資にも怯えることが大切です。自分が予想もしないようなことが起こるかもしれないということを念頭におくべきなんです」
と話しています。
FXトレーダーは常に深手を負う前に逃げられる準備を
トレーダーには、たしかに勇気が必要です。
リスクテイカーになれなければ、大きなリターンを得ることはできません。
しかし、大パワーを持った車には、それを瞬時に止めるだけの高性能なブレーキがなければ、安全に運転を続けることはできないでしょう。
果敢にマーケットに勝負を挑み、勝ち続けていたビクター・ニーダーホッファーは、もしかすると勇気が勝り過ぎていたのかもしれません。
FXはご存知のように、トレーダーの意思次第で手持ち資金の何倍もの金額をトレードすることが可能です。
それだけに、だからこそ安全の上にも安全に、資金を管理する必要があります。
僕のFX用の口座に入っている資金は、極端に言えばすべて失っても生活に一切支障をきたさない金額です。
なお且つ、仮に「全損」を数回繰り返しても、生活に影響のない金額に抑えています。
このサイトの他のところでも話しましたが、資金を失う恐怖心があまりにも強いと、恐怖心がトレーダーの判断を鈍らせ、パフォーマンスに悪影響を及ぼします。
なので僕は、極力資金量を減らすことで、恐怖心を抑え、リスクテイカーにもなれるようにしながら、同時に「最悪の事態に陥っても生活に支障はない」という万全の備えも施しています。
FXで何よりも大切なことは、「生き残ること」です。
ニーダーホッファーのように、一時的に大成功しても、最後にすべてを失っては何の意味もありません。
大波に警戒し、過信を戒め、致命傷となるような深手を負う前に、常に、いつでも逃げられる心の準備と資金管理を徹底しましょう。
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