このサイトはトレーダーに必要な心理面のテーマを主に扱ってますが、テクニカルな知識が心理面に与える影響も非常に大きいので、少しテクニカル分析の基礎的なお話しをしましょう。
どこかでもお話しましたけど、僕がFXで大切だと思っている要素としては、
- テクニカル分析
- マインドコントロール
- 資金管理
- ファンダメンタルズ
この4つがあります。
このうち、テクニカル分析とマインドコントロールは、トレーダーの技術レベルの段階によって、どちらがより重要かどうかが変わってきます。
水平線(サポートレジスタンスライン)はテクニカル分析の基礎中の基礎
どういうことかというと、すでにテクニカルの基礎的な知識を身に付け、コンスタントに利益を積み重ねていけるトレーダーにとっては、それ以上の知識の習得よりも、常に心を冷静に保ち、普段通りのトレードを実行していくマインド面の方がより重要だと言えます。
一方、まだマーケットの動きがまったく不可解なものに見えている初心者トレーダーにとっては、心の状態ももちろん大切ですが、やはりそれ以前にチャートパターンを理解することが先決です。
チャートパターンを徹底的に頭に叩き込み、マーケットの動きがある程度予測できるようになれば、自然と自分のトレードに対して自信を持つことが出来るようになります。
この自信こそが、トレーダーにとっては最も大切な要素のひとつです。
ですので、
- ある程度勝てるレベルに達しているトレーダーにとってはマインドコントロールが最も大切
- 初心者トレーダーにとっては、テクニカル分析が最も大切
ということが言えるかと思います。
以上の理由から、まずはテクニカル分析に取り組まなければいけない初心者トレーダーの方のために、テクニカル分析の基礎中の基礎「水平線(サポートレジスタンスライン)」についてお話ししたいと思います。
為替レートは一定のレンジ内を行き来する習性がある
まず、下(↓)のチャートを見てください。
これはドル円の1分足チャートです。赤い横線が3本走ってるのが見えると思いますが、これが僕が直近の高値と安値に引いた「水平線」です。
概ね水平線の上限と下限の間を行ったり来たりしているのが分かるかと思います。
この値動きの特徴は、為替レートに限らず、およそ相場というものは、株でも原油でも金でも、みな同じような動き方をします。
ある価格水準に達すると上昇が止まり、ある価格水準に達すると下落が止まることで、チャート上に「節」が出来ていますよね。
僕が昔、勤務先の先物取引会社で手書きでチャートを付けてた頃、
「どうしていつもココで上げ止まって、必ずココで下げ止まるんだ?」
と不思議に思ったものでした。
あっ、どうしてチャートを手書きしてたかと言うと、当時はディーリングルームの端末以外は回線に繋がってなかったからです。
なので、当時のマーケットに関わる人間は、誰もが手書きでチャートを付けてたんです。
ローソク足はもちろんのこと、何本かある移動平均線も毎日自分で計算して手書きしてたんですよ~。
今の人からすれば、「なんて面倒くさい」って思うでしょうね。
でも、当時はそれが当たり前だったので、なんとも思ってませんでした。
今思えば懐かしい話しですね。
テーマがそれてしまいました…。
チャート上の「節」についてでした。
勢いよく上昇していたレートが、ある価格に達するとピタっと動きを止め、押し戻される。
少し下がったところで揉み合ったあと、もう一度さっきの上値に挑戦する。
でも、また戻される。
下方向についても同じです。
まるで見えない壁のように、同じところでピタっ~~っと、止められます。
なぜそうなるのか、それはトレードしている人々の「心理的節目」がそこにあるからなんです。
つまり、
「今の相場環境なら上限はこの辺りだろう」あるいは、「下げてもこの辺りまでだろう」と、思っているトレーダーが多い、ということです。
そして、そう思っている人が多いということは、「そこに売買が集中する」ということになります。
だから、「上の水平線」では売りものが増えて、「下の水平線」では買いものが増え、レートは一定の範囲内に押し戻されるわけです。
要するに、人々の心理の総和がチャート上に表れているんですね~。
だから、チャート分析初心者のみなさん。
いろいろな難しい分析手法を学ぶ前に、
「とりあえず、チャートの直近の高値と直近の安値に水平線を引きましょう!」
これだけでチャート画面から見える景色が変わってくるはずです。
為替レートが、ひとつのレンジから次のレンジへ移行するとき
しかし、この一定のレンジ内での値動きが、いつまでも続くことはありません。
上限下限それぞれの水平線付近では、強気の買い方と弱気の売り方の激しい攻防が繰り広げられています。
そして、いずれ強気派と弱気派のどちらか一方に優劣がつけられます。
ドル円で例えましょう。
それまで底だと思っていた下限付近で、ドルを買っていた人たちがいます。
今まではレンジの下限付近で買っていれば儲けられていました。
ところが、次第に様相が変わってきて、買っても買ってもレートが上がらなくなってきます。
なぜでしょう?
それは、今まで微妙なバランスを保っていた買い方と売り方の力関係が徐々に崩れ始めているからです。
売り方が、買い方の牙城を崩そうと攻勢を強めているんです!
想像してみてください。
今まで反発していたところでレートが思ったほど反発しなくなった時、トレーダーたちの心理にはどのように働くのか?
まず売り方は、自分たちに有利なチャートを作ろうと、ここぞとばかりに売り浴びせてきます。
一方買い方は、これまでと違う展開に不安を募らせます。
「もう上がらないんじゃないか?」
「もしかしたら急落するかも」
「逃げるとしたら今か」
そんな不安を抱えた買い方たちは、1人またひとりと逃げ始めます。
買い持ちしていたトレーダーが逃げるということは、持っていたドルを売るということです。
ギリギリまで踏ん張っていたものの、遂に勝ち目がなくなり、損失がほぼ確定したと悟った買い方たちは、資金を失う恐怖心から
われ先にと、いっせいに持っていたドルを投げ売って逃げ出します。
そして、ドル強気派が逃げ出す姿を見て、さらに追い打ちをかけるように、新たなドル売り攻撃が仕掛けられます!
恐怖心が引き起こしたドル売りの連鎖は、とうとうサポートとなっていたラインを下に割り込んでしまいます。
こうなると、これまでの下限の下にロスカットラインを設定していたトレーダーたちの損切りを巻き込み、売りが売りを呼び、一気にレートは下方向に加速していきます!
これが、みなさんも見覚えのある、レートがレンジをブレイクした直後に長~いローソク足を描くメカニズムです。
急激にレートが動く場面では、必ず「恐怖心を伴ったロスカットの連鎖」が起こっています。
こうして、サポート転じてレジスタンスとなる!
上のチャート画像の長~~いローソク足。売り持ちしていたら大興奮、買い持ちしていたら青ざめる場面です。
トレードのセオリーとして、ストップロスの逆指値注文をレンジの下限のすぐ下に入れるので、多くのトレーダーはこの急落の場面でポジションを解消しているはずです。
ところが、中にはストップロスを入れずに、「レートが戻ってくるのを待つ」トレーダーも相当数います。
彼らは含み損を抱えたままどうするのか?
この人たちは、レートがもう一度建値(ポジションを取ったレート)まで戻ってくるのを期待し、耐えるんです。
損切りを嫌って、含み損の苦しさに耐え続ける人はけっこういるものです。
そして、精神的に辛い状態をひたすら我慢し、ようやくレートが建玉した付近まで戻ってくると、
苦痛からから解放されたくて、いっせいに売ってきます(これを「やれやれ売り」と呼んだりします)。
彼らにすれば、大きな含み損を抱えていたわけですから、それが「チャラ逃げできる」となれば、喜んで売ってくるわけです。
その為に、以前はサポートライン(支持線)だった場所が、一転してレジスタンスライン(抵抗線)に変わるんです。
さらに、サポレジラインを転換させるもうひとつの要素があります。
それは、最初にレンジがブレイクされた場面で乗り遅れたトレーダーたちです。
大きな利益を掴みそこなったと後悔していたトレーダーにとっては、一度崩れたレートが、
「いったん戻って来てくれた場面は絶好の仕掛けのチャンス」
となります。
これらの理由から、下(↓)のチャートのように、かつてのサポートラインがレジスタンスラインに、レジスタンスラインがサポートラインへと変わって行くんです。
チャートをもう一枚見てください。
全体の基調としては下げ相場の中にも、一定の範囲内でレートが上下しています。
常に、上もしくは下にレンジがブレイクされる可能性を頭に入れつつも、
レートは概ね直近の高値と安値の間を行き来する。
と覚えておけば、自ずとエントリーすべきポイント、利益を確定すべきポイント、ロスカットすべきポイントが、戦略的に決定できます。
ここまで見てきて、水平線(サポートレジスタンスライン)がトレードをするうえで、どれほど重要なものかが、おわかりいただけたかと思います。
FXで勝っているトレーダーの中には、水平線しか使わずに勝ち続けている人もいるぐらいなんです!
さあ、FXトレーダーのみなさん!
今日からレートの直近の高値と直近の安値に、必ず水平線を引きましょう!
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