FXや株を問わず、初心者トレーダーの誰もが、
「なんで自分が買ったら直後に下がって、諦めて売ったら途端に急上昇するんだ?」
と、イライラすると同時に、その不思議さに驚かされたことがあるかと思います。
僕も、昔はそのことが本当に不思議でした。
今でもしょっちゅう、
「確信してエントリーしたのに、相場は逆を行き…」
と、辛いトレードを強いられることがよくあります。
ホントに腹が立ちますよね。
でも、この狙った方向の逆ばかりに行く不思議な現象、実はちゃんとしたメカニズムがあるんです!
その理由を知るだけで、あなたのトレードは明日から劇的に変わるはずです。
高値で買って、安値で売ってしまう主な理由は2つ
どのマーケットかに関係なく、買ったら値が下がり、売ったら値が上がるということは、単純な話、
「価格が上がってから買い出動し、価格が下がってから売ってしまっているということです」
人の心理とは、いかにも正直なもので、上がっている「お祭り」を見て買いたくなり、下がってる「悲観」を目の当たりにして売りたくなるわけです。
これは僕たち人間が本能として持ってる自然な行動で、トレードを始めたばかりの初心者はみなこの心理状態です。
そして、この本能に任せたトレードをして引っ掛ってしまうのが次の2つ、
- レンジ相場
- 群集心理の理解不足(長くなるのでここでは触れません)
です。
2番目の群集心理についての理解も超重要なんですが、その説明は「水平線(サポートレジスタンスライン)は猛烈に重要!」にも書いたのでそちらに譲るとして、ここでは初心者トレーダーがとりあえず知っておかなければならない(1)のレンジ相場についてお話ししたいと思います。
レンジ相場とは?
僕が初心者だったころ、ドル円の上昇の波に乗って毎日利益を上げ続けていた時期がありました。
トレード手法は、今と同じように、スキャルピングとデイトレードを組み合わせた手法でです。
要するに、スイングトレードのように買って放ったらかしにしてて儲けたのではなく、何度も何度も売買を繰り返しながら、利益を積み上げていってたわけです。
なので、自分の中で
「僕は一発屋じゃなく、本物の勝てるトレーダーになれたかもしれない」
と密かに自信を持ち始めていました。
FX初心者がたまに儲けるのは、ただ運良く「トレンド相場」に乗れてただけ
ところが、ある時を境に突然勝てなくなってしまったんです。
それまでと同じように、エントリーのタイミングを取っているのに、同じ方法でトレードしてるのに…。
自分の中ではちょっとしたパニックでした。
勝ってた時と同じことを繰り返してるのに勝てないんですから。
そこである時、自分の売買履歴をチャート上にプロットしてみたんです。
今、毎日「トレード日記」でしているように。
というか、勝ってる時の驕りはすごいですよね~。
自分がどんなトレードをして勝ったのか、検証すらしてなかったんですから!
「トレーダーは負けがあって進歩する」という格言は本当にその通りだと思います。
ということで、チャート上に勝ちトレードと負けトレードのエントリーしたポイントと、エグジットしたポイントをそれぞれプロットし、勝ちトレードと負けトレードの間に何か違うところはないか比較してみました。
そしたら、なんと一目瞭然!!
勝ったトレードは相場が右肩上がり。
負けたトレードの時は相場が横ばい状態だったんです!
「横ばい」、つまりレートが一定の範囲内で上下動を繰り返す「レンジ相場」です。
相場が右肩上がりの「トレンドが出ている状態」の時、僕はレートが上方向に動き出したのを確認してからロング(買い)でエントリーしてました。
それで良かったんです。上昇過程にある相場では、下げ止まった後、再度上昇していくのを確認してから入るのが正しい方法で、正しいトレードの結果、勝ちを重ねることが出来てたわけです。
しかし、相場は生き物です。
右肩上がりの時もあれば、そうでない時もあります。
まだ、ひとつの手法しか知らなかった当時の僕は、マーケットがどういった状態にあるかを見極めることなく、ただただ以前勝てたのと同じことを繰り返していました。
その結果、ある時は勝ち、ある時は負ける、大味なトレードになってしまっていました。
このレンジ相場につかまって負けてる時、僕がいったいどんな感覚を味あわされていたかというと、
「なんで僕が買ったのを合図にしたかのように、レートが下がって、諦めて損切りしたら、今度はそれを機に一気に上へと上がって行くんだ?」
という、このページのタイトルそのもの感覚です。
「トレンド相場」と「レンジ相場」、すべてはチャートに表れる
次の2枚のチャートを見てください。
上がキレイな右肩上がりのチャートを描く「トレンド相場」、下が一定の範囲内で上下動を繰り返す「レンジ相場」です。
トレンド相場のチャート

次々と高値を更新していく「トレンド相場」
よく、トレードを始めたばっかりの初心者が、
「俺は株(FX)で、○○円儲けた」
なんて自慢してるヤツいるじゃないですか?
あれって、まず間違いなくこの「トレンド相場」で、運良く初動で乗ったケースです。
始めたばかりなのに、そんなに稼いでるって、「スゴイなぁ~」とか「きっと才能あるんだろうなぁ~」なんて、周りの人も、本人自身も思ってしまうんですよね。
でも残念ながら違います!
才能で稼いだんじゃなくて、たまたまです。単なる偶然です。相場が良かっただけです。
その証拠に、2013年にアベノミクスで大儲けした初心者投資家のほとんどが、翌年には利益を全部スッ飛ばしたそうです。
当然ですよね、上がった相場に偶然乗っただけの人は、相場が下がったらマイナスになります。
相場が下がった分のマイナスだけなら、まだマシです。
上下に振り回された相場で、初心者が「巧く値動きを利用して利益を出そう」なんて考えると、「マズいトレード」の連発に、あっという間に大損してしまいます。
彼らは、プロトレーダーたちの格好の餌食となるわけです。
そんな初心者トレーダーがプロの餌食になりやすいのが、下のチャート画像の「レンジ相場」です。
レンジ相場のチャート

一定の範囲内を上下に行ったり来たりする「レンジ相場」
最初の「トレンド相場」と見比べて、ぜんぜんカタチが違うのが分かるかと思います。
「レンジ相場」では、買った後は放置する戦略だと、まったく儲からないのが分かりますし、
上がってから買い出動したり、下がってから売り出動したら、確実にヤラれる
のも、チャート形状から分かります。
でも、トレードを始めてすぐの頃って、そこまで気付かないんですよね。
相場にいくつものパターンがあることすら理解せずにトレードしてる人がほとんどなんです。
「トレンド相場」は順張り、「レンジ相場」は逆張りで!
2通りのまったくチャート形状が違う相場で、上手に利益を出していくには、トレーダーはそれぞれの相場に応じたまったく違った手法でトレードする必要があります。
とはいっても、今の相場がいったい「トレンド相場」なのか、「レンジ相場」なのか、後から振り返れば分かるけど、「その時点」では分かり辛いものです。
そこで、この2つを見極める方法としては、
レートが直近の高値を更新していけば、トレンド相場。直近の高値と直近の安値を更新できない場合はレンジ相場
と判断するのが妥当です。
この判断を補足するのに、以前、書いた「水平線(サポートレジスタンスライン)は猛烈に重要!」という記事がかなり参考になると思います。
要は、エントリーする前にチャート形状から、
今は「トレンド相場」なのか、それとも「レンジ相場」なのか、相場を仕分けする
ことが重要です。
そして、トレンドが出ていると判断したら順張り、レンジ内だと判断したら水平線まで上がる(下がる)のを待ってから逆張りでエントリーします。
そうすれば、このページのタイトルのように、「上がったから買ったら下がっちゃった。とか、下がったから売ったのに上がっちゃった」なんてことが激減するはずです。
ただし、最後にひとつ付け加えておかなければいけないことがあります。
それは、いくらトレーダーが正しい判断、正しい戦略でトレードを仕掛けたとしても、負けることもある、ということです。
相場というものはしょせん水ものなので、勝つ保証なんてものはありません。
「トレード日記」でもいつも言ってますが、僕たちトレーダーがやるべきことは、「より確率の高い方に賭ける」ことです。
それでも、あくまで確率なので、当たらないことも多々あります。
でも、正しい判断、正しい戦略をとった上での負けは「正しい負け方」です。
正しい負け方を身に付けたトレーダーは、確実に勝てるトレーダーへと成長していきます。
これからみなさんは、エントリーする前にまず相場の仕分けをし、トレンドなら順張り、レンジなら逆張りをすることで、より確率の高い方へポジションを取ることを心掛けてください。
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