トレーダーにとって何よりも大切な武器は、高額なFX教材でもなく、ネットに溢れるFX先生のアドバイスでもありません。
あなたの最大の武器は、過去の失敗から学んだあなたの経験です。
僕の長いトレーダー人生の中でも、いい時もあれば悪い時もありました。
たった数分でサラリーマンの年収分を稼ぐこともあれば、その逆だってありました。
大事なお金を、一瞬にして失ってしまう辛さは、この世界特有のものでしょう。
でも、自分を進歩させてくれる「貴重な経験」とは、常にそんな痛い敗北のあとに得られるものでした。
トレーダーは過去の失敗から学ぶ以外に成長する方法はない
トレーダーは、どんな時も勝利を目指して闘います。
このストレスの多い稼業のたったひとつの目的は「利益を生み出すこと」。これ以外にありません。
だからこそ、トレーダーはリスクを受け入れリターンを求めます。
しかし、ことトレーダーの能力を高める「経験」に限って言えば、勝利よりも敗北の方が、遥かに重要な示唆を与えてくれます。
良いトレードで利益をあげた時、トレーダーは高揚感と充実感の中にいます。
自分の戦略と行動の正しさが証明されたことに、これ以上ない満足感を覚えます。
「正しいことをしたからこそトレードで勝つことができた」と、当然そう考えます。
一方、負けた時、特に自らの精神をコントロールできずに、勝てるはずのトレードを負けトレードにしてしまった時は、自分自身を嫌悪し、自分で自分を激しく責めてしまいます。
単に運が悪かったことが理由で負けたのなら、トレードというゲームの一要素として軽く受け流すことができます。
でも、せっかく正しい戦略を立てていながら、自分に課したルールを守ることができずに、自ら敗北して行った時、トレーダーは頭を抱えて自分自身に問いかけます。
- なぜ、あの場面でエントリーをためらってしまったのか?
- なぜ、目標値まで下がってくるのを待てずに買い出動してしまったのか?
- なぜ、損切りすべきポイントを把握していながら、それを実行できなかったのか?
- なぜ、トレンドの初期でエントリーしていながら、利益を失うことを恐れ、さっさと利食ってしまったのか?
トレーダーなら誰もが経験するこれらはすべて、戦略や技術の問題ではなく、自分自身の心をコントロール出来なかったことが原因です。
こういうミスをしてしまったとき、トレーダーは自分で自分を責めてしまいます。
自らの心と向き合うことを学んだ時、トレーダーは確実に次のステージへの階段を上る
自分の精神の未熟さを痛感させられ、同時に大事なお金を奪いさられる。
これほど辛い感覚は、トレードという世界以外ではめったに経験することはないでしょう。
しかし、だからこそトレーダーは自らに問いかけるんです。
悪いのはマーケットでも戦略でもなく、「自分の心の問題」だと分かっているから。
そして、自らの心と向き合うことを学んだ時、トレーダーは確実に次のステージへの階段を上ります。
苦悩の果てに得た教訓だけが真の武器となる
僕のデスクの引き出しには、ぐちゃぐちゃに折り曲げらたノートが一冊あります。
15年ほど前、株のトレードを始めた僕は、ひとつひとつのトレードについて事細かにノートに書き出していました。
エントリーした日時、銘柄、建値、その銘柄を選んだ理由、そのタイミングで買った根拠、そしてその時の心の状態なども記録していました。
日によっては何度もエントリーとエグジットを繰り返すわけですから、ノートをとる為の労力も相当なものでした。
面倒くさいなぁ、と思うこともしばしばでしたが、
「トレードが巧くなりたい」
その一心でノートをとり続けていました。
ただ、トレードという行為の難しさは、ノートを数冊書きためたぐらいで上達するものではありませんでした。
毎日何度もトレードし、その都度詳細をノートに書き込んでも、負け続ける毎日でした。
そんなある日、僕は精神的にぷっつりとキレてしまいました。
「これだけ努力しても勝てないのか」
そう思うと、詳細にトレードを記録したノートが、どうしようもなく腹立たしいものに感じられてきたんです。
「一所懸命にノートをとったところで、何の意味もない」
そう思うと、僕はつい手元にあったノートをぐちゃぐちゃに折り曲げ、力まかせに壁に投げつけてしまいました…。
もうノートを見るのも嫌になってしまったんです。

昔、実際に僕がぐちゃぐちゃにしてしまったノート。このノートがあったから、今の自分がある。
それから何年か経って、たまたま引き出しの奥にしまってあったそのノートを見返したことがありました。
そしたら、そこに書かれてあった言葉やデータが、どれほど貴重なものであったかに初めて気付いたんです。
僕の数々の負けトレードは、すべて「自分の心のあり方の問題」だったということが、そのノートに書かれてあることを振り返った時に理解できたんです。
負けるのは辛いものです。
でも、負けたからこそ見えてくるものが必ずあります。
大切なノートを投げつけてしまうほどの苦しい思いは、僕の心の奥深くに刻まれて、そう簡単に消えることはありません。
でも、だからこそ、
心に刻まれた消えることのない辛い思いが、教訓となって、いざという時の正しい判断、正しい心構えを僕に示してくれます。
これこそが、トレーダーとしての僕の礎です。
プロトレーダーとして必要なことは、ほとんどすべて失敗から得た教訓でした。
だから、今、かつての僕と同じような苦しみに直面しているトレーダーの方にお伝えしたいと思います。
敗北の日々から学ぶこと、トレーダーにとって、これ以上の武器はありません。
と。
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